仕事をマスターするうえでの苦労はありましたが、大きな抵抗感もなく、この世界にとけこんでいけたように思います」実際、福祉業界への転職を希望し職業訓練校に通ったりしていても、実習で介護の現場に行くと自分の描いていた理想と現実のギャップのあまりの大きさにびっくりし、方向転換する人が非常に多いといいます。
その点、Mさんの場合は体力や忍耐力などが要求される「いわゆる介護」とは少し異なり、自らが旅行会社で培ってきたヒューマンスキルを生かすという方向性を目指したということも、功を奏したといえるでしょう。
新しい人生を踏み出してからすでに一年半が経過しました。
Mさんは「仕事をしていてもストレスがたまらないので、気が楽です」といいます。
「前の会社では、半年先のことを考えて商品を企画し、実際に商品が売りに出されると、今度は飛行機が本当に飛べるかとか、とにかく心配の種がつきずストレスがたまりっぱなしでした。
ところがいまは、一日一日、その場その場で持ち越すことなく、仕事が終わりになるので、ストレスがたまりません。
それに、まったく違う業種に来たので、頭がリフレッシュされたような気がします」いまから振り返ると、「最初は怖かった」とのこと。
「車椅子に乗ったままの人を車に乗せなければならないので、はじめのころは、落としてしまうのではないか、ケガさせてしまうのではないかと心配でした。
いまはもう慣れましたので、怖いと思うことはありません。
しかし、あくまでもプロですから、自分の責任というものを自覚し、いつも慎重で確実な仕事を心がけています」意識の面においても時とともに変化してきたといいます。
一番不思議に思っているのは、「あの人のために行かなければいけない」と思うようになったこと。
「自分を頼ってくれている人がいる、自分を必要としてくれている人がいるということが、頑張ろうという前向きな原動力になるのです。
それだけでも、私は転職してよかったと思っています」将来、自分が新たにやりたい仕事のイメージも浮かびあがってきました。
「旅行に関する国家資格も取っているし、いまは福祉業界で働いているわけですから、この二つを結びつけたような仕事ができるはず。
できれば、車椅子の人たちを旅行に連れていってあげるような仕事がしたい。
いましばらくは現在の仕事に全力投球ですが、いずれそういうことに携わりたい」辞めても、やはり旅行が好きなようです。
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